33年4ヶ月ぶりの海外旅行(4)

目的だった3回のプロムス鑑賞を終えて、残るロンドン滞在は正味二日間。17日(水)はお疲れ休みということで予定を入れていません。朝起きた気分で美術館か博物館でも行きましょうか。
18日(木)は家内の希望で丸一日のバス・ツアーが入っています。朝早いそうなので、前日はあまり疲れないことにして、と。

この二日間の記憶を記録しておきます。

水曜日はゆっくり寝ている積りでしたが、時差の関係もあって朝7時過ぎには朝食を食べていました。毎朝同じホテル(The Cavendish)の朝食ですが、いわゆるバイキング方式。席に着いて紅茶かコーヒー、それにトーストを頼むのが日課になりました。
トーストはこんがり焼いたブラウンと、焼きの浅いホワイトがありますが、毎度毎度ミックスで。おかずはバイキングのテーブルで好きなものを取ってきます。
日本のホテルと違って種類は多くありません。いくつか試してみて私が気に入ったのは、スクランブルド・エッグ、ソーセージ、マッシュルーム、温めたトマト。これは毎日欠かさず頂きましたが、飽きるという事は無かったですね。特にマッシュルームは絶品でした。デザートのスイカも意外にイケましたワ。

英国の料理は「不味い」と良く言われますし、私も否定はしませんが、今回の滞在では朝食は美味かったですね。パリの朝食も経験がありますが、あれはコーヒーとパンだけでしょ。それに比べるとロンドンの朝は豪華と言えるかもしれません。
ただし英国の野菜は葉物がダメ。元々気候が適していないんでしょう。持論ですが、料理と気候、それに食する人の嗜好は密接な関係があると思います。東洋の亜熱帯に住む日本人の食感と、北国英国のそれとでは、そもそも共通点は見いだせないのかも。
野菜は根菜ばかり、とエヴァンエヴァンスのガイドのエドも言ってました。その根菜、私に言わせれば、素材は良いけれど処理の仕方に問題がある。味付けが野菜の旨味を引き出していないのですな。
ということで私は、英国料理は不味くはないけれど、「美味くない」とでもしておきましょうか。エッ、同じことじゃないかって? いやいやチョッと違うんですよねぇ~。

従って外で食べる昼食や夕食はほとんどが「ハズレ」なんですが、全てダメかと言うとそうではない。それは19日に思い知らされます。

そんな話をしながら、フリーの一日はスタート。せっかくプロムスを聴いてきたのだから、プロムス室内楽の会場であるカドガン・ホールも見ておこう、ということで話が纏まりました。地図を広げると、スローン・スクエア駅が近そう。
スローン・スクエアは、グリーン・パークからヴィクトリア・ラインで隣のヴィクトリア駅に行き、サークル・ラインかディストリクト・ラインに乗り換えて隣駅。ロンドン・アンダーグラウンドも5日目ともなると自分の庭のようにスイスイ行けます。因みに地下鉄はイギリスではアンダーグラウンドですが、アメリカではサブウェイと言います。日本はサブウェイでしたっけ。

スローン・スクエアに降り立ってセディング・ストリートはどっちかな、スローン・ストリートは何処かと見回していると、「カドガン・ホール」の標識が駅から見えるんですね。
スクエアというのは、文字通り四角いスペースがある場所。ロンドンには「何とかスクエア」がやたらにありますが、慣れてくると方向感覚も育ってきます。
ということで目と鼻の先にあるカドガン・ホールの写真を一枚。チケット・ボックスの案内を見ると、ここはロイヤル・フィルの室内サイズのオケが定期演奏会を行っている会場で、東京で言えば紀尾井ホールのようなイメージでしょう。9月から始まる新シーズンのチケットが売り出された由。
今年のプロムスでカドガン・ホールを会場とするのは、室内楽シリーズ(PCMという略号)が8回、サタデー・マチネー(同じくPSM)というシリーズが4回予定されています。PCMは毎週月曜の午後1時から、PSMは土曜日の午後3時からが原則のようで、エマヌエル・パユやヨーヨー・マのリサイタル、ロンドン・シンフォニエッタの公演などはここで行われます。もちろんBBC3でのライヴ中継もあり。

カドガンを確認、方角としてはアルバート・ホールに近いので、次は自然史博物館に行きましょうか。大英博物館は33年前にも行ったし、とても一日で見切れる所じゃない。

自然史博物館はスローン・スクエアの隣駅、サウス・ケンジントン駅で下車します。実はサウス・ケンジントンは初めてロンドンを訪れた時に泊まったホテルがある場所でしたが、駅に降り立っても全く記憶から欠落していました。競馬のことで頭が一杯だったんでしょうか。

自然史博物館までは駅から地下通路で直行できるようになっています。館が開くのは午前9時でしたが、はや長蛇の列。ロンドンの美術館や博物館はほとんどが入場無料なので、平日にも拘わらず押すな押すなの行列でした。それでも一番に並んだのでスムーズに入れた方。

ここで見たものは全て省略します。大英博物館と同じで、半日や一日で見切れる分量じゃありません。それより9月16日まで行われている生きた蝶の特別展示を見ることにしました。事前に知っていたわけではなく、偶然に出会ったラッキーな催し。
博物館の庭に仮設展示場を創って公開しているもので、ここだけは入場料が一人3ポンド50ペンス。プロムスのプログラムと同じです。日本なら500円ですが、何事につけ設定されることの多い価格のようですね。
当然ながら中は蒸し暑く、ひさしぶりに東京の夏を思い出しました。“東京は暑いんだろうなぁ~”(実際、18日の東京は36度になったそうな)

展示では南米や東南アジアの蝶、凡そ100種が舞っていました。トラフタテハ、モルフォの一種やドクチョウの仲間。ナガサキアゲハやオオゴマダラなど日本にもいる蝶もいましたが、多分東南アジア産のものでしょう。
これに比べてイギリスの蝶相の貧しいこと。今回のロンドン行で見かけたのは、郊外でモンシロチョウ Small White をいくつか見ただけ。
そもそも英国(アイルランドも含め)土着の蝶は59種のみ。それに1ダースほどの飛来種や遇産種が記録されているだけです。その蝶に出会うには何処に行ったらよいのでしょうね。そんな機会が訪れるのでしょうか。

残り二日を一つの記事に纏めようと書き始めましたが、18日だけで随分長くなってしまいました。どうも私が書くものはダラダラと続くのが欠点ですナ。
ということで、この項はここまで。旅シリーズはもう一回で終わりにする積りです。

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